Program


10:30〜12:00
「緘黙の成人当事者の支援について 〜認知行動療法の発想と技法をヒントに〜」

 講師:広瀬 慎一さん かんもくグループ(北海道)


かんもくグループ(北海道)広瀬 慎一 先生より

メッセージと講演内容について

 

かんもくグループ(北海道) 広瀬 慎一 先生 

 

 

 はじめまして,北海道で緘黙支援の団体「かんもくグループ」を運営しています,広瀬慎一(臨床心理士)と申します。現在,「皆様にとって役立つ情報を提供したい」という思いを持って,講演に向けて準備を進めているところです。私からの情報提供が,少しでも皆様の生活・人生にとって,またこれからの緘黙支援にとって有益な材料となれば幸いです。

 

 今回の講演では,「成人の緘黙当事者の支援について」というテーマでお話しいたします。しかしながら,「場面緘黙」自体にわからないことが多い現状において,私にどのようなことができるだろうか。決して同一ではない,さまざまな事情を抱えている人たちに対して何ができるだろうか。そのように考えているなかで私が出した答えは,「まずは問題を整理する枠組みを提供したい」ということです。特に,成人の緘黙当事者では,長期間に及ぶ否定的な経験などによって場面緘黙以外の症状や問題を抱えている可能性が高いといえます。そのため,まずは客観的かつ適切に状態を把握することが重要かと思います。

 

 自分の状態や置かれた状況がわからないまま問題解決に取り組むのは,地図が無く,ゴールの存在もわからない状況で走り続けることを意味します。その状況では,早い段階で疲弊し,無力感でいっぱいとなり,自分を不当に責め続ける悪循環に突入してしまいます。そのような状態に陥るのを防ぐためにも,現状を適切に把握したうえで,一歩を踏み出す方向を定めることが大切です。

 

 そこで役立つのが「認知行動療法」の発想と技法です。近年,認知行動療法が,さまざまな心の病気や問題に対して有効であることがわかってきています。また,場面緘黙においても認知行動療法の有効性を示唆する研究が多く存在しています。さらに,場面緘黙関連の書籍においても,必ずといってよいほど認知行動療法が紹介されているかと思います。しかし,実際のところ「認知行動療法とは何か」について「ピンとこない」という感想をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

 

 認知行動療法とは,「これまでの経験において,どのような思考(認知・考え方)や行動が学習されてきたのか」という視点で,症状や問題の悪循環を成している思考と行動のパターンを分析し,さまざまな技法を用いて変容へと導く,科学的根拠のある方法です。言い換えるならば,症状や問題と強く結びついた思考と行動の習慣を変える(変えやすくする)方法ということです。この方法は,もちろん専門家の指導を受けることが理想ではありますが,原理を理解すれば,自分のペースで取り組んでいくことも可能です。つまり,認知行動療法を用いて,自分を自分で援助することができるのです。また,認知行動療法の発想と技法は,発達段階を選びません。そのため,成人に限らず,どの発達段階においても有効な方法といえます。

 

 私は,認知行動療法ですべてが解決できるとは思っていません。しかし,少なからず解決のためのヒントになるのではないかと思っています。適切な情報(知識)というのは,困っている人にとって「力」や「支え」になるものです。

 当日は,状態(症状や問題)を「適切に捉える方法」と「適切に援助する方法」についての情報を,北海道からのお土産にしたいと思います。「現在の悪循環を打破する方法がある」という希望の見通しを持っていただけるよう,努めてまいります。

 

どうぞ宜しくお願いいたします。



13:00〜15:30
「大人のかんもくフォーラム 〜成人当事者・経験者の声から〜」

登壇者
・広瀬 慎一さん(かんもくグループ(北海道))
・らせん ゆむさん(『私はかんもくガール』著者)
・浜田 貴照さん (かんもくの会) 
・加藤 諄也さん (場面緘黙を考える会 富山) 
・入江 紗代さん(かんもくの声)

進行

 高木 潤野さん(信州かんもく相談室) 

  

 

 



『シンポジウム開催にあたって』

 

かんもくフォーラム実行委員会 入江 紗代 

 

 

 このシンポジウムは、登壇者が場面緘黙経験者・当事者という今までにない試みとなります。当事者が人前に出て自分の話をすることは、場面緘黙の症状と真っ向ぶつかる行為ですから、通常ではあり得ないことかもしれません。ですが、登壇者の皆さまは強い不安を持ちながらも登壇することに意義を感じてくださいました。また、緘黙に関わる人々が集まるかんもくフォーラムなのだから、全く話せなくなっても構わない舞台、壇上で緘黙の症状が出てしまうことが失敗や問題にならない場でありたいと思いました。

 

 当事者同士だからといって必ずしも共感し合えるわけではありません。発した言葉が誰かを傷つけてしまう恐れもあります。それでも、登壇者ができるだけ生の声や姿をさらけ出すことは、緘黙に関する議論を深める大変意義のある契機であり、始まりであると考えます。

 また、多様な当事者像や「緘黙を持ちながらもどう生き抜いてきたのか」といった実体験の提示は、ご参加いただく(特に当事者の)皆さまの実生活に有益なものとして生かしていただけるのではないでしょうか。このシンポジウムは、多様な成人当事者の生き方を知る・生身の声を聴くことができる貴重な機会でもあります。

 

 当事者にとっての場面緘黙とは?緘黙が「治る」その定義とは?

当事者は、どんなコミュニティなら安心できるのか?成人当事者の就労や、結婚、子育てなどの経験について。当事者はどのように社会との関わり方を築いていけるのだろうか。ご参加くださる皆さまと考えて参りたいと思います。

 

 「緘黙」と「フォーラム」は相反する言葉かもしれません。ですが、あえて緘黙だけれど話し合う、緘黙だからこそ話し合うというニュアンスを込めました。「緘黙だからこそ話し合えることを、緘黙症状があっても話し合える場にしたい」と考え「かんもくフォーラム」と名付けました。また、緘黙という文化から、社会を眼差してみるという試みでもあります。

 

 

 皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

 



登壇者紹介

広瀬 慎一さん

臨床心理士

2015年より場面緘黙を抱えている人、経験者、支援者、家族、のための交流の場として緘黙支援のボランティアグループ「かんもくグループ(北海道)」を運営。

成人当事者への関心も高い。 

 



浜田 貴照さん

場面緘黙経験者

 2006年より場面緘黙症(選択性緘黙)・全緘黙症を巡る諸問題を社会に訴え、解決に取り組む「かんもくの会」を運営。

症状が重く社会に出られない成人当事者の現状などを伝えたいと、日本特殊教育学会において毎年自主シンポジウムを開催している。



 

らせん ゆむさん

 

イラストを中心に活動するクリエイター

場面緘黙経験者

 

自身の緘黙経験を綴ったコミックエッセイ『私はかんもくガール しゃべりたいのにしゃべれない場面緘黙症のなんかおかしな日常』(2015 合同出版)著者。

 

現在は二児の母であり、子育てに奮闘中。

 



 加藤  諄也さん

場面緘黙当事者

 

 2013年より、支援者、保護者らと「場面緘黙を考える会 富山」を運営。副代表。

 

教員に向けた研修会、趣味であるけん玉を通しての交流など、当事者ならではの活動を行っている。

 

現在、新聞配達に勤務。カフェ(週1)で就労の体験。

 

日本けん玉協会認定2級指導員(アシスタント役と一緒に指導に当たる条件つき)も有している。

 



入江 紗代さん

場面緘黙経験者

 

 

2014年よりfacebookページ「かんもくの声」を開設。

 

「私の自己表現」を軸に、場面緘黙経験者として講座などのイベント企画、情報やテキストの発信、緘黙の当事者研究などの活動を行っている。



進行

 

高木 潤野さん

信州かんもく相談室代表

長野大学社会福祉学部准教授

 

 学校教育の分野を主なフィールドとして、場面緘黙を対象とした個別の相談や学校コンサルテーション、研修会等を行う。

 

『学校における場面緘黙への対応』(2017学苑社)著者。

臨床発達心理士。専門は言語・コミュニケーション障害。

 

日本緘黙研究会事務局長




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